外国人のみなさんが日本の会社で働くためには、①日本の企業と経営環境、②日本で働くための在留資格、③日本の就職活動・仕事の探し方、という3つの状況について知っておく必要があります。本コラムでは3回に分けてそのポイントを伝えていきます。

第1回の内容は、日本の企業を取り巻く経営環境と、日本企業の経営の特徴についてですが、日本企業の経営を取り巻く最大の環境変化として、人口減少社会であることがあげられます。

上のグラフは日本の人口の推移を表していますが、人口はピークを超えて減り始めています。特に若手人口の減少は大きく、この人口減少の企業への影響は「顧客である国内人口(市場)が減少する」ことと、「働き手である生産年齢人口(15-64歳)が減少する」という点であり、どちらも大きな影響を企業経営に与えていきます。

現在ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で企業の採用活動は抑えられがちですが、それ以前は人材不足の状況が続いており、多くの企業は活発な採用活動を行っていました。このように日本社会は構造的な働き手不足の時代に入ったと言え、そういった状況のなかで、外国人材の採用は年々活発になってきたのです。

下のグラフは外国人労働者の人数の推移と、日本の就業者全体に占める割合の推移です。見ての通り2014年からCOVID-19が広がる前の2018年までは、年々増加する状況が続いていました。日本の働き手が不足する状況への対策として、多くの企業が外国人材の採用を積極的に行っていたのです。構造的な働き手不足の環境のなかで、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災の影響で経済が落ち込んだ中でも、着実に外国人材採用は伸びてきています。

企業を取り巻く経営環境の変化については人口減少以外にも、グローバル化の進展や、AI・ロボット・クラウドなどの技術の進化があげられます。それにより社会のデジタル化が推進されており、商品やサービスの進化のスピードも早くなる一方で、企業は新事業、新商品、新市場への展開や、業態の転換などが強く求められており、外国人材の積極採用につながっています。

皆さんが企業研究をする際には、そのような経営環境の変化を理解した上で、まずは業種を知ることから始めるのが良いでしょう。製造業、サービス業、金融業などの業種を広く調べてみて、そのなかで興味が持てる業種を絞っていき、絞り込んだ業種における個別の企業について調べてみることをおすすめします。それぞれの業種の中には、業界をリードする大企業の存在だけでなく、特徴ある中堅企業や中小企業も多くあり、いくつかの企業を調べていくとその業種における企業の理解が進みます。

日本経済の特徴の一つは、多くの中小企業の存在です。皆さんがよく名前を知っているような大企業は、企業全体のわずか0.3%であり、中小企業や小規模企業が多くを占めています。大企業が提供している商品やサービスも、その生産や供給においては、多くの中小企業が役割を担っているのです。例えば日本を代表する産業の一つである自動車ですが、1台の自動車は約3万点の部品で成り立っており、その多くを中小企業が生産しています。

そのような中小企業の中には、独自の技術を持って世界的に活躍している企業も少なくありません。企業研究では、そのような中小企業にも目を向けると良いでしょう。知名度の高い大企業は就職先として人気があり、多くの応募者が受けるので合格するのが大変です。就職活動においてはそのような人気ある大企業だけでなく、業界で独自の技術やノウハウを持つ中小企業にも目を向けて、自分が行きたい企業をリストアップすると良いでしょう。

就職活動において、なかなか行きたい企業に合格しなくて苦労することもあります。そのようなときに一定の企業数をリストアップしておくと、どこかに合格できる可能性が高まります。多くの企業を受ける学生等の場合は複数企業に合格して、自分で選ぶことができることもあります。ぜひ十分な企業研究で、充実した就職活動につなげてください。

コラム一覧